他人の著作物をサムネイル画像にすることは許されるのか!?【弁護士が教えるEC運営者のためのIT著作権法対策③】

著作権_サムネイル

 さて、前々回(インターネット上の情報利用と著作権侵害について)前回(書き込みやレビューの2次利用について)と書きました。
 今回もEC運営者の著作権シリーズになります。今回は、EC運営者が他人が著作権を有する「著作物」をサムネイル画像にすることについて書きたいと思います。商品を売る際に、その商品の画像をサムネイルにしたりとEC運営者にとって関係の深い部分なので、ご確認いただけたらな~と思います。
 EC運営者の方ならご存知かと思いますが、サムネイル画像とは、このサイトでゆうとPCからなら左上、スマホなら一番上に表示されてる画像です。


 今回も法律の仕組みを知っていただくために長く書いてしまいましたが、そんなんどうでもいい!結局どうすればよいの!?というかたは、「3 まとめ(サムネイル作成のために具体的に知っておくべきこと)」からご覧下さい。

1 他人の「著作物」をサムネイル画像で利用する場合に、著作権法上の問題が生じる場合

 まず、サムネイル画像使う場合、①画像のネタを仕入れる行為、②サムネイル画像自体を作成する行為、③サムネイル画像をサーバにアップロードして、アクセスした利用者に送信する行為が想定できます。この3つの行為について、著作権法上問題が起こり得る場合を見ていきましょう。なお、起こり得る場合なので、これにあてはまるからといって必ずしも、著作権法違反になるわけではありません。「2」の部分もあわせてご覧くださいね(そもそも、問題にならなければ「2」を検討する必要もなくOKということです。)
 つまり、原則として「許諾なく」次の行為をしたらダメだよ!!ということです。

1.1 ①画像のネタを仕入れる行為

 例えば、商品のサムネイルを作成する場合やブログのサムネイルを作成する場合にも、他人の「著作物」(美術品とか)を撮影したり、どこかの画像自体(著作物)をPCにダウンロードするということがあると思います。
 これらの利用行為は、著作物の「複製」(著作権法2条1項15号)にあたるので、著作権法上の問題が起こり得ます。
 このあたりの詳細は、こちらの記事に書いてありますので参考にしていただければと思います。

1.2 ②サムネイル画像自体を作成する行為

 次に、ネタを仕入れたとしても、サムネイル画像を作成する場合には、それの解像度を下げたり、サイズを縮小したりと編集行為が入ってくると思います。
 

1.2.1 「複製」にあたるのか。

 他人の著作物を「複製」したといえるためには、元の著作物の特徴的部分を直接感得しうることが必要であると法律上は考えられています。
 ですので、もし、解像度を下げたり、サイズを縮小した行為によって、仕入れた著作物の特徴的部分がわからなくなるようになっているのであれば、そもそも「複製」にあたらず、著作権法上の問題を生じさせません。
 ものの本には、このように説明されているのですが、サムネイルを作成する場合にそのネタ元を分からなくするのであれば、そもそも、そのネタ元いらんやん!?って話になりますので、ほとんどの場合、「複製」にあたると考えられますので注
意して下さい。
 

1.2.2 改変する場合

 次に、サムネイル画像を作成するにあたり、仕入れた著作物(画像等)を組み合わせたり、編集したりする場合があります。私も、いろいろな素材をダウンロードして、組み合わせてサムネイルを作成しています。
 ここも、要するに著作者の「意に反した」改変は、著作者の「同一性保持権」を侵害することになります。ふつーに考えて、自分が作ったものを勝手に改造されたら、やだよねっていうことです。
 なお、改変により元の著作物の特徴的部分を直接感得できないという場合には、問題になりませんが、上記の通り、あまりそんなことはありません。

1.3 ③サムネイル画像をサーバにアップして、アクセスした利用者に送信する行為

 サムネイル画像をサイトにアップロードする行為は、「送信可能化」(著作権法2条1項9号の5)にあたりますし、アクセスしてきた利用者に画像を見せる行為は、「自動公衆送信」(著作権法2条1項9号の4)にあたりますので、原則として、著作権者の許諾が必要です。
 ただし、元ネタの著作物の特徴的部分を直接感得できない場合には、問題にならないのは上述の通りです。ただ、そんならそもそも使う必要ないやんというのも上の通りです。

1.4 「1」のまとめ

 以上、サムネイルを利用するための①~③の行為は、原則として、著作権者の「許諾」なくすることはできません。ただし、ここまでも長く書いてしまったのですが、EC運営者やブログ運営者が、特に注意することは次の「2」です。「1」なんてサムネイルを作成する場合には、だいたいあてはまってしまいますから。

2 著作権又は著作者人格権侵害とならない場合

 「1」であっても、「2」にあたる場合には、著作権法違反にならないので、要チェックです。

2.1 画像の被写体(著作物)を譲渡しようとしている場合

 著作物の所有者等、その譲渡や貸与の権限がある人が、これを譲渡や貸与するためにサムネイル画像を作成し、アップロードすることは、以下の条件で、著作者の許諾をえていなくてもすることができると法律は規定しています(著作権法47条の2、著作権法施行令7条の2、著作権法施行規則4条の2)。
 これらの行為については、

ⅰ 図画として複製を行う場合、大きさが50平方センチメートル以下であること
ⅱ デジタル方式の場合、画素数が32400以下であること(技術的手段(画像をダウンロードできなくしている等)を講じている場合には、画素数が90000以下のものまで認められる)

 これがなければビジネスとしてものを売れないので、著作権法を改正して最近(平成22年)認められるようになりました。
 なお、著作者の許諾があると認められる場合には、これらの条件もいらないので注意して下さい。

2.2 引用して利用する場合

 次に、公表された著作物は、引用して利用することができるとされています。
 「引用」は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行う必要があります(著作権法第32条1項)。「引用」といえる場合には、著作権者の許諾なく、著作物を複製し、インターネット上にアップロードすることも許されることになります。
 一般に、「引用」には、引用する著作物と引用される著作物が明瞭に区分されていること、引用される著作物が全体として、「従」でなければならないこと(主従性)が必要とされています。ブログで他人の記事を引用する場合には、ちゃんと
 を付けないとねっていうのはこういうことです。

 「引用」については、それだけで、長くなるので、「引用」専門の記事を書きますのでそちらを参照ください。記事がかけ次第こちらにもリンクを貼らせていただきます。

2.3 黙示の許諾があると認められる場合

 インターネット上に公開されている画像は、権利者自身が誰でも無償で自由にアクセスでき、自由に閲覧することを許容していると考えられることは、著作権法の基本についての記事の通りです。
ただし、画像からサムネイル画像を作成し、これを利用する行為について、著作権者が黙示の許諾を与えていたと評価できる場合は、少ないでしょう。
 ですので、画像素材を配っているサイトでは、明示的に、「商用利用可能!」、「改変可能!」とい書かれているものを使わなくてはなりません。

2.4 アフィリエイトにおいて、商品の写真を利用する場合

 アフィリエイトにおける商品写真のサムネイル画像をリンクボタンとして、ECサイトへのリンクを張る場合は、ECサイトはアフィリエイトの利用に供する為に当該商品写真をネット上に公開しているものと解され、黙示の許諾があると評価されるべきである。

2.5 Googleさん等がサムネイル画像を検索結果として表示する場合

 なお、余談ですが、かのグーグル様とかが、画像を検索結果として表示するのはどうなん!?ていう疑問を持つ人もいるかと思います。
 これは、法律上「情報検索サービス事業者は、そのサービスの提供過程において、インターネット上に公開された画像を検索結果としての提供するため、URLの提供と併せてサムネイルの公衆送信を行うことができる(著作権法第47条の6)。」とされているのです。

3 まとめ(サムネイル作成のために具体的に知っておくべきこと)

 以上をまとめると、サムネイル画像作成、アップロードにあたっては、

① ECのために商品の画像を載せるのは基本的にOK!「2.1」「2.4」
② 画像をサムネイルとして利用する場合には、「商標利用可」、「引用元表示不要」や「編集可能」等の条件を確認し、自分の利用方法に合致する画像等を利用する「2.3」

 ということです。利用条件等から、どの画像を利用するかについては、これらのまとめサイトが参考になります!
私もこの中の多くのサイトを利用させていただいてます。ほんといつもありがとうございます!!
この場をお借りして、御礼をいわせていただきました!!

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永吉 啓一郎ピクト法律事務所代表弁護士

投稿者プロフィール

自らもECサイトや新規事業(税務調査士認定制度等)の立上げや運営を行ってきた弁護士。
多くのベンチャー企業や新規ビジネスの立上げ等について、法律的なアドバイスのみでなく「パートナー」としてかかわっている。
得意分野は、ECサイトやIT関連企業を初めとして企業法務と税法

ピクト法律事務所

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