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掲示板の管理人やEC運営者がインターネット上の掲示板やレビュー等の書き込みを2次利用できるか!?【弁護士が教えるEC運営者のためのIT著作権法対策②】
前回は、インターネット上の情報が著作権法上保護されるか、どのような場合にその著作物を利用しても良いのかについて総論的に書きました。
今回は、CGMサービス等での掲示板やレビュー等の書き込みを2次的に利用することができるのかについて書きたいと思います。
目次
1 インターネット上の掲示板やレビュー板への書き込みは著作物か!?~著作権法上保護を受けるか~
まず、掲示板やレビューへの書き込みが、著作権法上の「著作物」といえるか否かという点があります。これは、「著作物といえるか」どうか書いた前回の記事から判断することになります。つまり、掲示板上等への書き込みも作者(書き込み者)の個性があらわれている(創作性がある。)と評価できるのが通常であるので、「著作物」として著作権法上保護されます。また、掲示板やレビューは、ハンドルネームや匿名で行われる場合が多いが、匿名であるとか、ハンドルネームであったとしても、「創作性」がある以上、「著作物」となりますので注意して下さい。
したがって、著作者(レビュー等を書いた人)の許諾が得ずに著作物を利用することは、著作権侵害として違法となります。
2 掲示板運営者やEC運営者への”黙示の許諾”!?
それでは、掲示板運営者やEC運営者への”黙示の許諾”が認められ、著作権侵害とならない場合がないのでしょうか(黙示の許諾については、こちらの記事の「2」をご覧下さい。)
2.1 黙示の許諾が認められる場合
インターネット上の掲示板やレビューというのは、公衆がアクセス可能な場所に書き込みをしているという性質上、その掲示板やレビュー版上でその書き込みを公衆送信(管理者が特集レビューを組む等)等については、書き込みをした人も予測している利用といえ、黙示の許諾があると評価できるため、著作権侵害にはならないといえるでしょう。
なお、単にプリントアウトする行為については、黙示の許諾が認めれるでしょう(こちらの記事の「2.2.1」参照)
2.2 黙示の許諾がない場合
ただし、著作物である書き込みを新聞、雑誌、出版物等に掲載したり、CD・DVD等に複製し販売・頒布や、映画を制作する行為等までについては、書き込み者が予想している利用といえないので、”黙示の許諾”は認められず著作権を侵害する行為となるでしょう。この場合には、掲示板管理者やEC運営者は、明確に許諾を得る必要があるのでしょう。
3 書き込みを利用して、出版やDVD化するためには!?
上記「2.2」のように、書き込みやレビューを利用するにはどうしたらいいでしょうか。
もう、お分かりだと思いますが、レビューの書き込みをする際に、そのような利用について許諾を得ておけば良いのです。ただし、許諾の意思表示が認められる必要があるのですが、一定のルールを守る必要があります。これは利用規約の内容を契約(意思表示の合致)とするために必要な措置に関する記事に書いてあるので、そちらも参考にしていただきたいのですが、書き込みの利用に関する許諾の取り方(規約等の作り方と設置方法)について書きます。
3.1 ①規約内容を明確に!
まず、どのような利用をされるのかが明らかでない限り、当然、書き込みをする人にとっては、”許諾”する対象がわかりません。ですので、規約内容はある程度明確になっている必要があります。また、出版等の場合には、レビューを改変する場合もあるので、改変についても許諾を得ておきましょう。具体的には、
というような内容の表示をすれば良いでしょう。
ただし、このように許諾をとったとしても、書き込みをした人の名誉や信用を害するような利用は、許諾の範囲を超えると思われますから、注意が必要です。
3.2 ②規約の設置方法
次に、いくら規約の内容が明確であったとしても、見難い場所等に設置されていれば、その規約内容に許諾したとは認めれませんよね。
そこで、規約の設置方法も気をつける必要があります。
方法としては
ⅱ 書き込み欄の上等わかりやすい場所に規約を置いておいて、書き込みさせる。
という方法があります。
ⅰを利用するのが最も確実な方法です。ただし、いちいちこのような確認方法をとることでレビュー数が減ってしまう等もありますので、ⅱの方法を私はおすすめします。
なお、ダメな例として、リンクをたどっていかないと利用規程が表示されないような場合や画面の隅の方に小さい字で利用規程が表示されている場合には、書き込みをする人が認識していると評価できませんので、許諾を得たとは言えませんの注意が必要です。
4 まとめ
今回は、掲示板への書き込みやレビューを掲示板管理者やEC運営者が出版物等に利用するための許諾の取り方について書いてきました。現状では、将来的に利用するかはわからなくても、予防的にこの辺りを対処しておいた良い場合もありますので、ご確認いただければ幸いです。
上記の方法で、規約は①内容を明確にし、②容易に認識できる場所に設置するというのがポイントです。