共同購入クーポンと広告規制【いわゆる「フラッシュマーケティング」によるIT・WEB広告に関する法律の規制】
さて、以前、フリーミアム型WEBサービス広告の法律問題についての記事を書きました。今回は、別のマーケティング手法と広告の法律問題について書きたいと思います。その内容はタイトルにもある通り、いわゆる「フラッシュマーケティング」と呼ばれるマーケティング手法とその広告の法律問題についてです。
目次
1 フラッシュマーケティングとは!?
ここでいう「フラッシュマーケティング」とは、商品やサービスをの価格を割り引く等お客さんに有利になるクーポンを、一定数量・期間限定という条件付きで販売することで集客を図る手法をいいます。「1週間で30名の購入者があった場合」等販売期間や数量に条件をつけて販売するものが多いです。
つまり、期間限定であることでお客さんの今購買しなければという気持ちを高めるのみならず、30名集まらなければ良い条件で購入できないので、お客さん自身がSNSやリアル口コミでクーポン(ひいては商品)の宣伝をしてくれるという優れたマーケティング手法の1つといえると思います。
フラッシュマーケティングが用いられる主な類型としては、商品やサービスを提供するお店(加盟店)とクーポンを発行する会社(クーポン発行会社)が、フラッシュマーケティングをする契約をして、クーポンを個別のお客さんに販売するという形が多いです。図で説明するとこのページのサムネイル画像になります。
実は、一見違うように見えますが、「クラウドファンディングの購入型」もこれに近い(というか同じ!?)モデルということができると思います(クラウド・ファンディングについては古い記事ですがこちらをご覧ください。)
2 フラッシュマーケティング広告の景品表示法上の問題点
フラッシュマーケティング広告についても、このサイトではおなじみになってきた広告に関する法律の王様である景品表示法の規制があることになります(景品表示法一般の法律を書いた記事、フリーミアム型WEB広告についての記事はそれぞれクリックしてみてください。)。
2.1 優良誤認表示
フラッシュマーケティングが、社会的に問題となった事例である2010年の年末にグルーポン・ジャパン(クーポン発行会社)が、2010年末に50%割引で販売したクーポンのおせち料理が、広告より量が少なかった、料理がいたんでいる、などの苦情が相次いだ事件(いわゆる「おせち炎上」事件)では、広告上のおせち画像と実際に届いた商品において、質・量ともに明らかに広告上のものが良いものとなっていた。
これは、「実際のものより著しく優良であるとする表示」していた場合として、景品表示法4条の「優良誤認表示」にあたるといえるでしょう(優良誤認表示の詳細はこの記事をお読みください。)。
2.2 有利誤認表示(二重価格表示の問題)
また、フラッシュマーケティングが行われる場合、「一定期間内に一定数量の申込があれば」という条件で割引等お客さんに有利な形で、クーポンが販売されます。
その際に、「通常価格 19,800円、割引価格9,800円」等二重価格表示となる広告表示することが多いのですが、実際は通常価格によってその商品ないしサービスを販売したことがないという場合が少なくありません。このような場合には、「実際の条件より著しく優良であるとする表示」をしていたとして、景品表示法4条の「有利誤認表示」にあたるとされる場合が多いです(有利誤認表示の詳細はこの記事をご覧ください。)。
3 まとめ(フラッシュマーケティングをする際の具体的な注意点・対応方法)
以上、今回はフラッシュマーケティングについて広告についての法律問題を見てきました。
最後にECサイト運営者等がフラッシュマーケティングを利用する際にどのように対応するかという点を書きたいと思います。
② 有利誤認表示(詳しくは、「2.2」参照)に対しては、最近相当期間に販売された実績のある商品・サービスの価格を比較対象価格(通常価格)に用いたり、初めて販売する商品やサービスの場合などには、なぜ比較対照価格になるのかということを具体的に表示する(ないし、その価格の根拠となる資料を残しておく)。
この対策は、当たり前のことばっかりだなと思われた方も多いと思います。この「当たり前」が法律の求めていることに過ぎませんので、お客さんとの信頼関係を築こうとすれば、おのずと法律も守ることになると思います。
クーポン会社と加盟店いずれが責任をとるのか等の問題もありますが、取引当事者なのですから、両者で上記の点に気をつけてビジネスを大きくしていっていただければと思います。
「おせち」炎上事件は、広告のみでなく多くの法律問題を含んでいますので、今後このサイトに再登場することが多いと思いますが、よろしくお願いします。