中古品を販売するのに必要な古物営業の許可・届出【EC(IT)取引・販売を開始ー特別に必要な法律手続①】

中古品販売

 当サイトでは、ECサイト運営・インターネット取引を始めるために最低限必要なもの特定商取引法の表記の書き方等を記事にしてきました。
 これら以外にも、どんな物を販売するのか、どんなサービスを提供するのかによって、特別に法律で必要とされていると手続き(届出や許可等)があります。今後、このサイトでは、よくECサイト(インターネット取引)で販売されるもの等について、記事にしていきたいと思います。
 今回は、「中古品」を販売するために必要な手続きを書きたいと思います。中古品をそのまま販売したり、修理等をして販売するということをされているECサイト運営者の方も多いと思いますので、要チェックです。
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1 古物営業法とは

 さて、ECサイトを利用して、物を販売したいという方の中にも誰かが使わなくなったものを集めて販売したい!という方は結構いらしゃるんではないかと思います。実際に、中古品取引市場の市場規模は年間2,000億円を超えるものです。
 ただし、中古品を買うためには、ちゃんと許可を取ってくださいね!という法律があります。
「古物営業法」という法律で、中古品には、盗品が混ざる可能性もあるので、ちゃんと許可を取った人だけに販売する権利があることにしないとどんどん転売されて盗まれたものが発見できなくなるし、それじゃあ盗む人も多くなっちゃうので、それを防止する目的の法律です。
簡単に言うと、「古物」を一定の営業形態でビジネスにする人(「古物営業」)は、ちゃんとお国がどんな人物かわかるように許可をとったり、届出をしてからにしてね!その後もちゃんとルールを守ってビジネスをしてね!っていうことを定めた法律なんです。

1.1 「古物営業」ってなに!?

 それでは、古物営業法の規制の対象となる人はどんな人なのかということからお話します。
いわゆる「古物営業」は、①古物商②古物市場主③古物競りあっせん業者という3つの類型があります。

 この3類型いずれも「営業」といえる必要がありますが、これは、営利の目的(お金を稼ぐ等)をもって同種の行為を反復継続して行うことをいいます。なので、引越しの際に自分の持っている服を販売するとか、自分の使用しているものがたまってきたら販売する程度では、「営業」とはいえず、この古物営業法の規制はうけません。以下は、「営業」といえる場合を対象として記事になります。

 ①②は、同じような規制、③はちょっと違う規制になりますので、以下詳しく見ていきたいと思います。とりあえず、条文を挙げますが、下で解説しているので条文は読み飛ばしていただいて構いません。

古物営業法第2条  この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
2  この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一  古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
二  古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
三  古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
3  この法律において「古物商」とは、次条第1項の規定による許可を受けて前項第1号に掲げる営業を営む者をいう。
4  この法律において「古物市場主」とは、次条第2項の規定による許可を受けて第2項第2号に掲げる営業を営む者をいう。
5  この法律において「古物競りあつせん業者」とは、古物競りあつせん業を営む者をいう。

 

1.1.1 「古物商」とは

 「古物商」とは、古物を販売、交換、または委託を受けて売買、交換する営業をいいます。つまり、「古物」といえる物を普通に販売したりする場合には、「古物商」となるんです。中古品の販売等をするECサイト運営者は、ほとんどの場合、「古物商」にあたりますので注意が必要です。
 ただし、次の営業形態を取る場合には、「古物商」から除外されます。

・古物の買取りを行なわず、古物の売却だけを行なう営業(無償又は引取り良を徴収して、引き取った物を修理をして販売する場合など)
・自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行なう営業(以前に自分が販売した物品を相手方から買い戻すだけを行う営業など)

 例えば、引越屋さんがいらなくなった物を無料又は有料で引き取ってくれる場合があるかと思いますが、それを販売しても、「古物商」にはならないということになります。

「古物商」は、古物商の許可を得ることが必要になります。
 

1.1.2 「古物市場主」とは

 「古物市場主」とは、「古物商」間の古物の売買や交換のための市場を経営する営業するものをいいます。例えば、リサイクルショップ同士の商品売買市場等があります。プロである「古物商」間に限定されたオークション等がこれにあたります。
売り手にとっては在庫調整やすぐに換金が可能なこと、買い手にとっては品揃えの薄い商品の仕入れが容易になるということで、よく古物商に利用されるものです。

 この市場を営業するためには、古物市場主の許可が必要となります。
 

1.1.3 「古物競りあつせん業者」とは

 古物の売買をしようとする者のあっせんを競りの方法(インターネット・オークションに限る)より行なう営業をいいます。例えば、サイト上で、自分で使用していた服を他の人に売りたいという人とより値段を高く入札したそれを買いたい人とをマッチングさせて仲介手数料等をとるというモデルがこれに当たります。インターネット等を利用した電子的方法によることに限定されている類型です。

 このあっせん業を営むには、「古物商」の許可等は不要ですが、営業開始の届出が必要となります(詳しくは「2.2.2」参照)

1.2 「古物」ってなんなの!?

「古物」とは、①一度使用された物品②使用されない物品で使用のために取引されたもの③ ①または②に幾分の手入れをしたものをいうと法律で定められています。
 ①②に「使用」という言葉が出てきていますが、これは、本来の目的に従って使うことで、「衣類」なら「着用する」ことですし、腕時計なら「装着する」こと、観賞用の美術品なら「鑑賞する」ことです。
つまり、ここでは、そもそも転売目的(業者の仕入れの場合等)ではなく、その物を消費する為に一度取引がなされれば「古物」にあたることになります。

 また、③の「幾分の手を入れた」とは、物の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で、修理等をおこなうことをいいます。つまり、改造して全く違う効用のある商品等にした場合には、その商品は、「古物」ではありません。
「机」を作って販売するために「木材」を購入した場合に、この「木材」は一度取引されいますが、「机」は「古物」ではないのです。

2 古物商等の許可を得るために必要な許可申請等の手続き

 それでは、自らが運営したいECサイト(IT取引)が、「古物営業」(①古物商②古物市場主③古物競りあっせん業者)に該当する場合、どこに何をすればよいのでしょうか。

2.1 どこに許可申請をすれば良いか。

 まず、法律上「古物営業」を営むには、営業所(営業所がない場合は、「住所」等)が所在する各都道府県の公安委員会から許可を得なければ(③古物競りあつせん業者の場合は届出しな)ければなりません。
 そして、許可申請書等の提出先(窓口)は、各警察署になります。東京の場合は防犯係、大阪の場合は保安係、その他の権の場合は、生活安全係が多いようです。

2.2 許可申請に必要な提出書類とは!?

 以下、具体的にどのような書類等を提出しなければならないのか見ていきましょう。個人事業者として行う場合と株式会社等の法人で行う場合には、必要な書類等が異なってきますので、区別してみてみてください。
 

2.2.1 「①古物商」「②古物市場主」の許可申請

 まず、①古物商、②古物市場主も許可申請書を提出する必要があります。
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この許可申請書は、①②の両方で同じ書式のものを提出すれば足ります。警視庁がだしている下記の書式に必要事項を記載して提出すればよいでしょう。
個人の場合の書式
法人の場合の書式

この許可申請書とは別に以下の添付書類を提出する必要があります。
添付書類(必要書類)
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2.2.2 「③古物競りあっせん業者」の届出

③古物競りあっせん業者に該当する場合には、
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2.3 かかるお金や時間

 

2.3.1 「①古物商」「②古物市場主」の許可申請

 19,000円の申請手数料がかかります(収入印紙で)。
また、約1~1.5か月で許可を受けることができます。
なお、古物営業の許可で、不許可とされるのは例外的な場合に限られるので省略しますが、上の必要書類を提出していれば特に問題なく許可されるのが通常です。
 

2.3.2 「③古物競りあっせん業者」の届出

 無料です。営業開始から2週間以内に上記の届出書類を提出すればOKです。

3 まとめ

 以上、長くなりましたが、EC(IT)サイトで中古品を販売する等の場合の手続きについて記事を書きました。
必要書類の編集可能なテンプレート等随時このページにアップしていきたいとかんがえていますので、ご期待下さい。

 この記事の内容は、始めるためにどんなことが必要となるを記載していますが、開始後も「古物営業法」上の義務が生じたりということがありますので、それもこのサイトで改めて記事にしたいと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
代表弁護士永吉 啓一郎

担当者プロフィール

自らもECサイトや新規事業(税務調査士認定制度等)の立上げや運営を行ってきた弁護士。
多くのベンチャー企業や新規ビジネスの立上げ等について、法律的なアドバイスのみでなく「パートナー」としてかかわっている。
得意分野は、ECサイトやIT関連企業を初めとして企業法務と税法

ピクト法律事務所

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