アフィリエイト・ドロップシッピング(無在庫販売)における景品表示法上の不当表示の責任

 アフィリエイトにおけるアフィリエイターやドロップシッピング(無在庫販売)におけるドロップシッパーは、ウェブ上で、商品やサービスに関する広告を行うことになりますが、この広告に、有利誤認表示や優良誤認表示などの不当表示があった場合、景品表示法上の責任を負うのでしょうか。今回は、広告における不当表示の責任を負う主体についてご説明します。

1 広告(表示)における不当表示の責任主体(一般論)

 まずは、景品表示法上の責任を負うのは誰か、という一般論からご説明します。

 広告に不当表示があった場合に景品表示法上の責任を負うのは誰かというと、
「自己の供給する商品又は役務の取引について」表示を行った事業者です(景品表示法第5条)。

 自らが商品を製造して販売する事業者はもちろん、商品を仕入れて販売する卸売業者も、「自己の供給する商品」について表示を行うことになるので、景品表示法上の責任を負います。
 また、商品の販売ではなく、何らかのサービス提供を行っている事業者も、「自己の供給する役務」について表示を行うことになるので、景品表示法上の責任を負うことになります。

2 アフィリエイターの責任

 では、具体的に、アフィリエイターが、景品表示法上の責任を負うかについて、見ていきたいと思います。

2.1 アフィリエイトとは?

 この記事では、アフィリエイトとは以下のような内容を前提とします。

  1. ・広告主が商品の販売や、サービスの提供を行っている
  2. ・ウェブサイトやブログなどを運営している事業者(いわゆるアフィリエイター)が、サイト上に、広告主の商品に関するバナー広告を掲載
  3. ・お客さんがバナー広告をクリックしたり、商品の購入を行うなどの成果が出た場合、広告主からアフィリエイターに対し、成果が出た分の成功報酬が支払われる(広告主とアフィリエイターの間に仲介するアフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)が入ることも多い)

 このように、アフィリエイトにおいて、アフィリエイターは、自社の運営するサイト上に、広告主の提供する商品やサービスに関するバナー広告を掲載することになります。

2.2 アフィリエイターの景品表示法上の責任

 では、アフィリエイターは、自社サイトに掲載したバナー広告に、有料誤認表示や有利誤認表示などの不当表示を行った場合、景品表示法上の責任を負うのでしょうか。
 答えは、NOです。

 なぜなら、景品表示法上の責任を負うのは、上記1で見たように、「自己の供給する商品又は役務の取引について」表示を行った事業者だからです。
 アフィリエイターは、バナー広告を出してはいますが、広告に関する商品を販売しているわけではありません。したがって、「自己の供給する商品又は役務の取引について」表示をしているとはいえないため、景品表示法の対象とはならないのです。

 ただ、当然ですが、景品表示法上の責任を負わないからといって、どんな広告を出してもよいというわけではありません。
不当表示にあたるような広告を出していると、アフィリエイターの広告を信じて商品を購入してしまったことを理由として、不法行為による損害賠償請求をされるリスクはあります。ですので、広告の内容について責任を持って確認すべきであることに変わりはありません。
 事実と異なる広告や、見た人の誤解を招くような広告は避けるべきです。

3 ドロップシッパーの責任

 次に、ドロップシッピングにおいて、ドロップシッパーが景品表示法上の責任を負うかについて見ていきたいと思います。

3.1 ドロップシッピングとは?

この記事では、ドロップシッピングとは以下のような内容を前提とします。

  1. ・ドロップシッパーが、自身の運営するサイトやブログで商品を販売(販売する商品やその価格を決定)し、お客さんから注文を受ける
  2. ・ドロップシッパーは商品在庫を持たず、お客さんから商品の注文を受けるとベンダーやメーカーに当該商品を発注
  3. ・ドロップシッパーから発注を受けたベンダーやメーカーが、直接お客さんに商品を配送(ドロップシッパーとベンダー・メーカーの間に仲介するドロップシッピングプロバイダ(DSP)が入ることも多い)

 このように、ドロップシッパーは、商品在庫も持たず商品の配送も行わないため、自社での業務コストが非常に低く、手軽に始められる副業のような意識で行っていらっしゃる方も少なくないと思います。

3.2 ドロップシッパーの景品表示法上の責任

 では、ドロップシッパーが、自社サイトに有料誤認表示や有利誤認表示などの不当表示を行った場合、景品表示法上の責任を負うのでしょうか。
 答えは、YESです。

 ドロップシッパーは、商品在庫を持たず実際の配送業務も行いませんが、自らが商品の販売主体になるため、「自己の供給する商品又は役務の取引について」表示を行った事業者にあたるからです。
 商品の販売主体になるかどうかという点が、上記2.2で見たアフィリエイターとは決定的に異なります。景品表示法の問題とは別ですが、商品の販売主体となることから、商品に欠陥があった場合の返品・返金などの責任も負うことになります。

 ドロップシッパーは、手軽に始められる副業のような扱いをされることもありますが、景品表示法上の責任を負うことになるため、事実と異なる広告や、見た人の誤解を招くような広告は行わないよう、十分注意してください。

4 まとめ

 結論としては、アフィリエイターは自社で行った広告について景品表示法上の責任を負わない、ドロップシッパーは責任を負うということになります。
 もちろん、不当表示を行った場合の責任は景品表示法だけではなく、他の責任を追及される場合もあるので、事実と異なる広告や、見た人の誤解を招くような広告は行わないに越したことはありません。
 ウェブ上の広告は、多数の人が見ており、問題が顕在化しやすいという特性もあるので、十分注意していただければと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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