マッチングサイトサービスでトラブルがあった場合のサイト運営者の責任【マッチングサイト運営者の法律問題】

ベビーシッター

 ECサイト(IT取引サイト)で、誰かと誰かをマッチングするビジネスがありますよね。例えば、英語を教えたい外国の方と英語を教わりたい日本人の方とか、ベビーシッターをしたい女子大生と子供の親とか、出会い系なんてのもマッチングサイトビジネスといえると思います。
 今回は、このマッチングビジネスで、マッチングされた人の間で、トラブルがあった場合に、サイト運営者はどのような責任を負うことになるのかについて、検討してみたいと思います。
 例えば、マッチングしているベビーシッターが、子供に怪我をさせてしまった!!という場合等にサイト運営者は、責任を負うのでしょうか。

1 マッチングサイト運営者の法律的な立場は!?

 お客さんからしてみれば、上記の例のような場合、怪我をさせてベビーシッターに損害賠償等の責任の追及をすることは当然として、マッチングしたサイト運営者にも何かしらの請求をしたくなると思われます。
 しかしながら、法律的にいうと、マッチングサイト運営者は、出会いの場所を提供しているだけの存在となりますから、原則として、マッチングされた人たちの間のトラブルについては責任を負わない立場にあります。
 民法の原則からすると、ベビーシッター契約は、ベビーシッターをして欲しいという申込みをしたお客さんとベビーシッターしますとそれを承諾したベビーシッターをする人の間で成立しているからです。
 このあたりについては、ネットモールの運営者がモールへの出店者と利用者のトラブルについて責任を負うかどうかを記載した記事のネットモール運営者と同じになります。この記事により詳細に理由が書いてありますので、そちらも参考にしていただければと思います。

2 例外的にマッチングサイト運営者が責任を負う場合

 とはいっても、マッチングサイトを運営して、ビジネスをしている以上、どんな場合でも責任を負わなくてよいわけではありません。このあたりも上記にあげたネットモール運営者の責任の記事が非常に参考になります。理由などは、そちらの記事をご覧ください。
 今回はそれをマッチングサイトにあてはめて、例外的に責任を負う場合を見ていきましょう。

2.1 マッチングサイト運営者が契約者であると誤解されても仕方のない場合

 ①マッチングされたベビーシッターが、マッチングサイト運営者に雇われている等と誤認するようなサイト設計がなされており(虚偽の外観の存在)、②これが、マッチングサイト運営者の責任で作られていて(帰責事由の存在)、③お客さんがそのように(契約主体はマッチングサイト運営者である)勘違いしてもそんなにお客さんが悪いとはいえない(重過失がない)場合には、マッチングサイト運営者も、ベビーシッターと同様の責任を問われる場合があります(商法14条類推適用)。
 例えば、「弊社の教育を受けた洗練されたベビーシッターです」等の記載があったり、あたかもマッチングサイト運営者自体が、ベビーシッターを行う会社であるかのような記載がある場合がこの例でしょう。

2.2 マッチングサイト運営者が問題を放置していた場合

 お客さんが、契約者はベビーシッター個人であると認識していた場合でも、お客さんの子供の怪我をさせたり等の問題を頻繁に起こすベビーシッターであることをマッチングサイト運営者が知っていたにもかかわらず、放置した場合等は、場所を貸すだけといっても最低限守るべき管理義務に違反しているとして、損害賠償の責任を負う場合が多いでしょう。

2.3 マッチングサイト運営者がその人の信用力等を保証していた場合

 こちらも、お客さんが、契約者はベビーシッター個人であると知っていた場合です。単なるマッチングのための情報提供を超えて、その特定のベビーシッターの信用を保証していた場合には、マッチングサイト運営者も責任を負う場合があります。
 ただし、契約件数の多い順にランキングをつけたり、お客様アンケートの数値化されたデータを公表しただけだと、特段マッチングサイト運営者の判断を示しているものではないので、保証していたとまではいえないでしょう。

3 まとめ(マッチングサイト運営者がとるべき措置)

 それでは、最後にマッチングサイト運営者が具体的に取るべき措置をまとめます。わかりやすいようにベビーシッターを例にとっていますが、それ以外のマッチングサイトでも基本的に同様ですので、参考にしてください。

① サイトのお客さんが認識しやすい場所に、「当サイトに登録されているベビーシッターは、当社とは独立して自己の責任の下業務をする者であり、特に明示している場合を除き、当社および関連会社が管理又は運営しているものではありません」等マッチングサイト運営者とベビーシッターが異なる独立した関係にある子を明確に表示しておく
② 常日頃から、ベビーシッターに対するお客さんの評価や問題点を吸い上げることができる等トラブルを減らすシステムを構築しておき、不適切なベビーシッターは登録から除外するようにしておく(そのために資格条件や利用規約等を工夫しておく)
③ サイトでお子さんの年齢も3歳以上等の限定をつけて、最悪の事故を避ける等(これはビジネスモデルによりますが)

です。

 今回は、例としてベビーシッターをあげました。特にベビーシッターの場合には、小さなお子さんの命にもかかわる場合があります。ですので、②を強化して、しっかりと管理体制を整えておくことがとても重要になりますし、今後、特に厳しい管理体制の構築が法律的にも求められてくるでしょう。これは、もちろんビジネスとしても重要で、怪我をさせたベビーシッターをマッチングしたサイトであるということになれば、信用も失い、ビジネスどころではないでしょう。
 マッチングサービスビジネスは、思わず人を傷つけてしまう場合も多くありますので、十分に注意して、仕組みを作っていきましょう。
 

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永吉 啓一郎ピクト法律事務所代表弁護士

投稿者プロフィール

自らもECサイトや新規事業(税務調査士認定制度等)の立上げや運営を行ってきた弁護士。
多くのベンチャー企業や新規ビジネスの立上げ等について、法律的なアドバイスのみでなく「パートナー」としてかかわっている。
得意分野は、ECサイトやIT関連企業を初めとして企業法務と税法

ピクト法律事務所

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