商標出願に対して拒絶理由通知を受けたら!?

 特許庁に対し、商標の出願登録をした際、その商標が登録を受けられないものに該当すると、特許庁から「拒絶理由通知」を受けます。ですが、これに対して、手続の補正をしっかり行うことで、商標登録を受けることができるようになります。

1 拒絶理由通知とは!?

 出願した内容が商標法や商標審査基準で定められている拒絶理由に該当すると、特許庁から、「拒絶理由通知」という書面が送付されます。

1-1 商標登録を受けられない出願は?

 商標法や特許庁の審査基準によって、商標登録を受けられない出願が決められています。
 いくつもの拒絶理由があるのですが、実務上多い拒絶理由は、次の2つです。

    拒絶理由の代表例

  1. ①自己の商品・役務と他人の商品・役務とを識別できないもの
  2. ②ありふれた名称など、公益の見地から商標登録に相応しくないもの

 ①は、他人の商標や商品・役務との「類似性」がある場合や、指定した商品や役務が明確でない場合に、出願登録が拒絶されます。「類似性」については、こちらの記事(商標の世界での「類似性」とは!?)で詳しく解説しています。

 ②は、他人に対する差止請求権や損害賠償請求権を認めることが適切でない商標について、商標登録を認めないものです。例えば、その商品を一般的に示す言葉(普通名称)を商標として登録すること(あんこの入った菓子パンについて「あんぱん」という商標を付すること)はできません。
 普通名称については、こちらの記事(「普通名称」だと商標登録を受けられない!?)で解説しています。

1-2 「拒絶理由通知」の内容

 特許庁から送付される「拒絶理由通知」には、以下の内容が記載されています。

    拒絶理由通知の内容

  1. ・整理番号
  2. ・発送日
  3. ・出願番号
  4. ・特許庁審査官
  5. ・商標登録出願人(またはその代理人)
  6. ・拒絶理由通知発送の日から40日以内に意見書を提出すること
  7. ・拒絶理由の詳細(「理由」)

2 拒絶理由通知への対応は?

 拒絶理由通知に対してなんら対応をしないでいると、商標の登録を受けることができません。そのため、商標登録を目指すのであれば、手続補正書や意見書を提出することが必要になります。

2-1 拒絶理由の検討

 拒絶理由通知が送付された場合、まずは拒絶の「理由」を吟味しなければなりません。
 拒絶理由通知に記載してある拒絶理由は、比較的詳細に記載されていることがありますので、しっかりと検討して補正手続を行うことが重要です。

 出願の際に指定した商品や役務が明確でない場合には、なぜ明確でないのかの理由が記載されています。その際に参考にすべき商品・役務の一覧が公表されている特許庁のホームページも、拒絶理由通知に記載されています。
 また、他人の登録商標と類似しているという理由で拒絶された場合、拒絶理由通知には、他人の登録商標が引用してあるため、どのような点が類似しているのかについて的確な検討が求められます。

2-2 手続補正書の注意点

 商品や役務が明確でないことを理由とする拒絶理由通知に対する手続補正書では、商品・役務の範囲を明確にすることになります。ですが、出願時に特定した商標を変更すること、例えば、商標の一部を削除することや、「標準文字」などの記載を削除することは認められません。逆に、指定商品の範囲の減縮、誤記の訂正、明瞭でない記載を釈明することは認められます。
 また、出願人を変更することも要旨の変更に該当しますので、変更したい場合には、別途名義変更届の手続を行う必要があります。

 なお、手続補正書と後述の意見書は、原則として、拒絶理由通知の「発送」の日から40日以内に特許庁に提出しなければなりません。この期間内に提出できないと、審判を請求して争わないかぎり、出願した商標は商標登録を受けることができなくなります。

2-3 意見書の内容

 上記の手続補正書では、出願の内容を補正することによって拒絶理由を解消することが目的でした。これに対し、拒絶理由に該当するとの特許庁審査官の判断に対して、補正をせずに、意見書を提出して、審査官の判断を覆すことを目指す方法もあります。
 しかし、審査官は、基本的には特許庁が統一的な審査を行うために定めた基準に従って審査を行っています。そのため、審査官の判断を覆すためには、高度に専門的な内容の意見書を提出しなければなりません。

 例えば、指定商品をパスタ、商標を「みーすぱ」とした出願に対し、「単にミートソーススパゲティという商品の普通名称の略称を表示するもの」であることを理由に拒絶理由通知が出されたとします。これに対して、意見書の中では、「みーすぱ」が「ミートソーススパゲティ」の普通名称の略称を表示するものではないことを主張しなければなりません。
 具体的には、そもそも片仮名で「ミースパ」と表示することが取引の実情に照らして「ミートソーススパゲティ」という普通名称の略称を示すものではないことを指摘し、したがって片仮名ではなく平仮名で表示した「みーすぱ」も「ミートソーススパゲティ」という普通名称の略称ではない、という論理を組み立てることが考えられます。

 このように、意見書を作成する際には、商標法や商標審査基準の内容を正確に理解することが重要であることや、実際に商品がどのように取引されているのかについても把握しておくことに加え、これらを書面に的確に反映することが重要なのです。

3 書面提出後の手続

 提出された手続補正書や意見書を検討し、拒絶理由を解消できたと特許庁審査官が判断した場合には、しばらくして特許庁から「登録査定」が送付されます。
 この場合、登録査定の書面を受け取った日から30日以内に登録料を納付して、はじめて商標登録が完了します。納付する登録料は、その商標の区分の数によって変わります。

 手続補正書や意見書を提出しない場合、あるいは提出しても拒絶理由を解消できていないと審査官に判断された場合、拒絶査定が出されます。これに対して不服があるときは、拒絶査定不服審判を請求して、特許庁の判断が誤っていること、つまり拒絶理由はなく出願登録が認められるべきであるとの主張を行うことが必要になります。

4 まとめ

 今回は、商標の出願に対して拒絶理由通知が届いた場合の対応について解説しました。
 出願内容に拒絶理由があると、上記のような対応が求められ、手続的にも負担がかかってしまうほか、補正手続に要した時間だけ登録が遅れることになります。
 商標の出願をする際には、拒絶理由に該当しないよう、事前準備が重要なのです。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士萩谷真樹

担当者プロフィール

企業法務の中でも、特に知的財産権分野を得意としている。同法人のIT・EC事業に特化している弁護士とともに、知的財産権分野という専門性の高い領域で、お客様へのサービス提供を行っている。

ピクト法律事務所

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