買い物代行業を始めるときに必要な資格とは!?

 近年、「買い物弱者」や「買い物難民」というように、近所に商店がなく日用品の買物が難しくなってきている人が増えてきています。これは、日本人口の高齢化と不況によって地方から商店がなくなってきているという事態から生じていると言われています。
 このような状況の中、例えば地方に住んでいる高齢の方、介護施設に入居している方を対象に、買い物代行業が流行りだしました。そして、最近では、通販と同じ感覚で、なかなか手に入らない限定商品などの購入の代行を依頼することが増えてきています。

 今回は、気軽に始められる買い物代行業のスタートアップの際に知っておくべき、必要な資格やサイト運営についての法律上の注意点を解説します。

1 買い物を代行することに資格は必要なのか?

 買い物代行業者が顧客から依頼を受けて、店舗やインターネットオークションで買い物をすること自体は、現状で特に規制はされていません。そのため、特別な資格を取得する必要も、行政に対して届出や許可申請をする必要もありません。

 買い物代行業は、基本的には①顧客から代行業者への発注(代行の依頼)と②代行業者と店舗やオークション出品者との間の売買契約とで成り立っています。これらは、単純な売買契約や代行の依頼の積み重ねでありますので、顧客→代行業者→出品者等への依頼や注文がしっかりなされるのであれば、基本的には代行業自体を規制する必要は低いと考えられます。

 もっとも、今後、代行業者が顧客である消費者を食い物にするような事件が起きて社会問題になるなど、代行業を規制するべきであると考えられるようになると、新たに法律を定めることによって規制が始まる可能性もあります。

2 代行業を開始するときに資格は必要なのか?

 資格や特別な許可を受けていないと販売できない商品の買い物を代行するとき、資格等が必要になるのでしょうか。

 例えば、小売店が酒を販売するときは、税務署長から販売業免許を受けなければなりません。また、小売店がタバコの販売をするときには、財務大臣の許可が必要です。
 その他、医薬品、食料品なども、一定のものを販売するときに特別の許可等が必要になってきます。

 買い物代行業者が顧客から注文を受けて酒の買い物を代行する場合、一般的には酒類販売免許の取得は不要であると言われているようですが、ケースによっては税務署長の免許が必要になってくる可能性があります(例えば、代行手数料の定めや納品の方法等によって、実質的に見て酒の買い物の代行ではなく酒税法上の「酒類の販売」に該当する場合など)。

 新たに買い物代行業を始める方は、買い物を代行する商品が免許を取得する必要があるものかどうかを事前にチェックしておきましょう。また、監督する行政庁(酒類の場合は国税庁や税務署)に対して、買い物代行業で取り扱うことに問題の商品かどうかを確認することも重要です。

 このような確認をおろそかにすると、無許可で販売したことになり、刑事罰に処されるおそれがあります。

3 海外との取引が含まれる場合に注意するべき点

 買い物代行業者が海外から商品を買い付ける場合にも、特別の規制がかかる場合があります。特に、食料品や医薬品関係は、各種法令や条約等により輸入が制限されているものもあります。

 逆のパターンで、海外の顧客から注文を受けて、日本国内で商品を買い付け、海外に発送するサービスもあります。この場合には、日本が輸出を規制していたり、外国が輸入を制限している商品については、せっかく商品を発送したはいいが、外国の税関で没収されるという事態も起こりえます。そうすると、海外の顧客からクレームが来て、外国で損害賠償請求の裁判を提起される、なんてことにもなりかねません。

 取り扱う商品が輸入・輸出の規制がかけられているものかどうかは、税関に直接問い合わせることも可能ですが、日本貿易振興機構(JETRO)ウェブサイト に問い合わせることも可能です。

4 配送方法の注意点

 顧客から注文を受けた商品を仕入れて顧客に届ける場合、配送業者を利用しないで自ら顧客の元まで配送するサービスがメインになってきています。
 この場合、軽自動車やオートバイを使うときは「貨物軽自動車登録」が必要になってきます。

 配送まで自社で行うサービスが配送業の許可が必要になるかどうかは、主に自動車やオートバイの排気量等によって決まってきます。
 そのようなサービスを予定している方は、国交省や陸運局に問い合わせるなどしておくことが必要です。

5 代行の受注方法の注意点

 顧客から商品の買い物代行を受注する際には、どの商品の買い物を頼まれたのかを明確にする必要があります。そのためには、例えば自社のウェブページに商品の画像を掲載するなどの対策が考えられます。

 しかし、商品の画像の中には、第三者の著作権が生じているものもあります。
 画像や写真についての著作権は、①商品のパッケージを作成した者の著作権と、②写真を撮った者の著作権の問題の2つがあります。このうち、②については、どれも似たような写真になるので著作権が生じる可能性は若干低いとは考えられます。しかし、①については、写真が鮮明でパッケージのデザインの細かいところまで見えてしまうと、複製権侵害に該当する可能性が高まってきます。
 そこで、商品を画像や写真で紹介する場合には、他の商品とは区別できるが、あまり鮮明には写っていない写真を使うのがポイントになってきます(非常に微妙な線引きですが)。

6 まとめ

 今回は、買い物代行業者のスタートアップの際に知っておくべき法律について解説しました。
 最近は「買い物弱者」や「買い物難民」など、近所に商店がなく日常の買い物も一苦労になっている人も増えてきており、買い物代行業のニーズは高まってきています。また、買い物代行業は気軽に始められるという点も魅力的です(最近は、一般のユーザーが会員登録して、単発の買い物代行のアルバイトができるサービスも登場しています)。
 もっとも、事前に各種の規制を調査して対策をしておかないまま事業をスタートすると、最悪の場合刑事罰を受けたり訴訟を提起されたりする可能性もあるので、注意が必要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士萩谷真樹

担当者プロフィール

企業法務の中でも、特に知的財産権分野を得意としている。同法人のIT・EC事業に特化している弁護士とともに、知的財産権分野という専門性の高い領域で、お客様へのサービス提供を行っている。

ピクト法律事務所

この著者の最新の記事

関連記事

運営者情報

IT・EC特化型リーガルパートナー

お気軽にお問い合わせ下さい

ページ上部へ戻る