民泊のシェアリング・エコノミーサービスを運営する事業者が適法に仲介を行うために守るべき義務~民泊新法~

 前回、平成29年3月10日に閣議決定された民泊に関する住宅宿泊事業法案(民泊新法)の概要に関する記事を書きましたが、民泊新法は、ホストと宿泊者をつなぐ「住宅宿泊仲介業」を規制の対象としており、民泊のプラットフォーマーも「住宅宿泊仲介業」の規制対象となると考えられます。今回は、プラットフォーマーが守るべき義務に焦点を当てて書いてみたいと思います。

 

1 民泊新法におけるプラットフォーマーの位置づけ

 「住宅宿泊仲介業」とは、ホストや宿泊者を代理して、届出住宅(ホストが民泊を行うものとして都道府県知事に届出を行っている住宅)の宿泊サービス提供に関する契約を行い、または、これらの契約の仲介を行うことにより、報酬を得る事業者のことをいいます(第2条8項および9項)。

 現在、民泊のプラットフォーマーが行っている仲介等の業務は、この住宅宿泊仲介業に該当することになると考えられます。なお、「届出住宅」が対象となっていますので、プラットフォーマーは、代理・仲介をする対象の住宅に関して、ホストが都道府県知事に対する民泊の届出を行っていることをしっかりと確認する必要があります。 

そして、「住宅宿泊仲介業」を行うプラットフォーマーには、以下のように、観光庁への登録義務やその他さまざまな義務が課せられます。

 

2 観光庁への登録

 プラットフォーマーがホストと宿泊者の仲介を行うためには、以下のとおり、登録を受けることが必要になります。詳細を見ていきましょう。

2.1 登録手続

 自らの氏名、住所等の情報や、法人である場合には役員の氏名等を記載し、観光庁長官に登録の申請書を提出します(第47条)。そして、以下のような登録要件を満たしているかどうかの審査を経て、登録の手続がなされます。

2.2 登録要件(登録拒否事由)

 第49条において、プラットフォーマーとしての登録の拒否事由が定められています。これらの事由に該当する場合には、登録を受けることはできません。その中でも重要なのは、仲介業務を行うために必要とされる財産的基礎を有していない場合(第49条1項10号)や、仲介業務を的確に行うための業務体制が整備されていない場合(第49条1項11号)です。

これらに関する具体的な内容は、今後、省令により定められることになりますが、仲介業者という重要な責任が伴うことから、一定の財産的基盤を有しており、かつ、一定の業務体制が整備されていないと登録が受けられないことになっています。新規参入を考えられている方には、この点が障害になる可能性があります。

 

3 プラットフォーマーが守るべき義務

 プラットフォーマーには、以下のように様々な義務が課されていますので、これらを守って適切に業務を行っていくことが必要があります。

3.1 住宅宿泊仲介業約款の届出(第55条)

 プラットフォーマーは、宿泊者との間で結ぶ仲介契約に関して、住宅宿泊仲介業約款を作成して、観光庁に届け出なければなりません。また、この約款を公示することも求められており、その公示の方法は、今後省令で定められることになっています。おそらく、プラットフォーマーのウェブサイト等で公表するという運用になるのではないかと思われます。

 なお、観光庁が作成する標準住宅宿泊仲介業約款を使用する場合は、官公庁への約款の届出は不要です(第55条3項)。今後、観光庁は標準約款を作成していくものと思われます。

3.2 料金の公示(第56条)

 宿泊者およびホストから受け取る仲介手数料を定め、あらかじめ公表しておくことが求められており、公表した以上の料金を受け取ることは禁止されています。
そして、料金設定の基準も省令により定められる予定です。

3.3 不当な勧誘等の禁止(第57条)

 宿泊者に対して、仲介契約をするかどうかを判断する際の重要事項について、わざと告知しない、または、虚偽の事実を伝えることが禁止されています。また、その他禁止される行為を省令で定めることになっています。

3.4 違法行為のあっせん等の禁止(第58条)

 違法なサービスのあっせんや広告を行うことは禁止されています。したがって、民泊新法に基づく義務や、180日の上限規制を守っていない届出住宅について、仲介したり、ウェブサイト上で広告等をすることはできません。

したがって、プラットフォーマーにおいては、ホストがこのような義務を守っているかどうかをチェックしていく体制を整える必要があると思われます。

3.5 事前書面の交付(第59条)

 宿泊者と仲介契約を行う前に、契約内容その他省令で定める事項を記載した書面を、宿泊者に交付したうえで、その内容について説明しなければなりません。書面の交付は、紙媒体で行うのが原則です。ただし、宿泊者の承諾を得たうえで、電子交付により行うこともできるとされています(第59条2項、第33条2項)。電子交付の具体的な内容は、今後、省令で定められることになりますが、電子メールでの送付や、ウェブサイトへの掲載等の方法が認められることになるのではないかと思われます。

 ウェブサイトでの仲介を行っているプラットフォーマーが多いことから、ほとんどの場合には、この電子交付の方法により、書面交付を行うことになることが予想されます。

 

4 罰則等

 プラットフォーマーが上記の義務に違反した場合には、業務改善命令、業務停止命令、登録取消処分、処分の公表、立入検査、罰則等の対象となる可能性がありますので、十分にご注意ください。

 

5 まとめ

 見てきたとおり、民泊新法が施行された場合、民泊のプラットフォーマーには様々な義務が課せられることになりますので、現在民泊のプラットフォーム事業を行っていらっしゃる方、これから始められようとしている方はご参考になさっていただければ幸いです。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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