カーシェアリングビジネスに法律上許可が必要か!?

 シェアリングエコノミーの一形態として、個人の自家用自動車を他人に貸したい人と借りて使用したい人とをつなぐサービスプラットフォームが出てきています。
 このようなカーシェリングを行う場合の法規制についてはご存知でしょうか。 今回は、このようなサービスを行う場合の法律上の扱いについてご説明します。

1 カーシェアリングにおける法規制

 まず、カーシェアリングに関する法規制がどうなっているのかについてご説明します。

1.1 規制根拠となる条文

道路運送法第80条1項(有償貸渡し)
 自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。ただし、その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りでない。

1.2 規制の対象となるかどうかの基準(要件)

 上の条文を簡単にいうと

  1. ①業として
  2. ②有償で
  3. ③貸し渡す

場合には、規制の対象となり、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。

 これは、いわゆるレンタカー事業を想定した規定で、このような事業につき許可制を定めたのは、レンタカー事業の適正と車両の安全性を確保する点にあります。

1.3 個人間で行われるカーシェアリングに許可は必要か?

「①業として」とは、反復継続の意思をもって行うことをいいます。

 個人間のカーシェアリングにおいては、貸す側は、通常、何回も貸し出しを行うことを想定していますので、①業として、にあたる場合が相当多いと思います。

 また、無料で貸すということは基本的にはなく、何らかの対価を得て行われることにあるでしょうから、②有償で、③貸し渡すということになり、レンタカー事業に該当する可能性が高いと考えられます。

 結局、通常の個人間でのカーシェアリングは、レンタカー事業を行っているものとして、自動車を貸す側が許可を受けなければならないということになります。

2 現在行われている個人間のカーシェアリングは許可をとっているの?

 ここで、疑問が湧いてくるのが、すべてのカーシェアリングは、許可をとって行われているのか、という点です。

2.1 事業者が行うカーシェアリング

 事業者が行うカーシェアリングの場合、ある程度の規模の事業者であれば許可をとって、法律で定められた運用基準に則って運用していくということは可能です。実際にも、大半の事業者は、許可をとった上で、適法に運営してるものと思われます。

2.2 個人間で行われるカーシェアリング

 もっとも、個人間で行われるカーシェアリングは、自分が使わない間の空いている期間貸し出して副収入を得るという点にその本質があるため、このような貸主が許可をとることはあまり想定されません。実際、カーシェアリングを行っている個人で許可をとっている人は、ほとんどいないでしょう(おそらく皆無です。)。

 では、現在の個人間でのカーシェアリングは、どのような形で行われているのでしょうか。

 一例としては、自動車の「共同使用」として行われているものがあります。

「共同使用」は、同一の自動車を2人以上で、それぞれが自己の欲求充足のために主体的な立場において使用すること

をいいます。

 自動車の共同使用は、平成18年の道路運送法改正まで許可制とされていたのですが、法改正により許可制が廃止されました。これにより無許可で行うことができることとなったという整理で、共同使用の形態を利用して、許可の取得を回避しているものと思われます。

 具体的には、カーシェアリングのサービスプラットフォームの利用規約において

・自動車の共同使用(貸し借り)をする個人間で6か月以上の共同使用契約を結ぶこと

を義務づけるという方式で、「共同使用」という形式を担保し、レンタカー事業としての許可は不要という整理がなされています。

 ただ、現時点において、行政から、この形態であれば適法ですよというお墨付きがあるわけではありませんので、今後の動向によるところではあります。

3 まとめ

 以上見てきたように、何回も継続して、有料で自動車を貸し出す場合には、基本的には、レンタカー事業としての許可が必要になります。
 このようなカーシェアリングを行う場合には、正面から許可を取得するか、または、何らかの方式で許可が必要ないという形態で行うことが必要になります。その一例として、「共同使用」の形態をとるなど、現在行われているサービスのスキームは参考になるかと思います。

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