ウェブサイト・アプリの制作を外注する契約書の注意点

自社のウェブサイト・アプリを外注で制作する場合、外注したけどいつまでたっても完成しない、できあがったものが思っていたものと全然違う、バグが多すぎて全然使い物にならないなど、よくトラブルのご相談を受けます。そこで、後でトラブルにならないよう、発注の段階で、契約書を作成しておくことがとても重要です。
今回は、ウェブサイト・スマホアプリを外注する際の契約書の注意点をまとめてみます。

 

1 制作したいサイト・アプリの内容を明確に

例えばホームページやWEBサービス、アプリの制作を外注する場合、外注したはいいものの、できあがってみたら思っていたものと全然違うというトラブルは非常に多いです。
 そこで、発注側は、このサイト・アプリでどのようなことがしたいのか、どのような画面にしたいのか、どのような機能がほしいのかといった要望を具体的に伝え、制作したいサイト・アプリの内容を、仕様書などの形で、書面として明確に残しておくということが重要です。
 この部分が明確になっていないと、完成した段階で、思っていたものと違う、ということが起こり得るのです。完成したものがあらかじめ定めた仕様と違っているということが明確であれば、完成後に再度修正してくださいと言いやすくなりますので、仕様書などを作成しておくことをおすすめします。

 

2 納期の確定をしておく

他によくあるトラブルの例としては、いつまでたってもサイトやアプリが完成しないというものです。通常、発注者側は、開発を依頼したサイト・アプリのリリースの時期を計画しているでしょうから、いつまでたっても完成しないということでは困ります。
 そこで、いつまでに完成するのか、という納期を契約書で明確にしておいた方がよいです。納期の記載がない契約書は意外と多いので、受注者側から納期の記載がない契約書が提示されたら、納期を入れてもらうようにしましょう。
 また、納期を定めていても、その納期までに納品されないということもままあります。このような場合に代金を先払いしておくと、代金だけ支払ってしまって結局納品を受けられず、大きな損害が出てしまう可能性もあります。ですので、できれば代金は納品されたときに支払うということで後払いにしておくことが望ましいです。全額後払いが難しければ、一部は契約時に支払う、残りは納品がされてから支払うというように、代金の支払い時期を分けておくことも考えられます。

 

3 バグなどの不具合の修正に関する取り決め

開発を依頼したサイトやアプリが納品はされたものの、指定した仕様と全然違うとか、バグが多すぎて使えない、というトラブルも散見されます。このような場合に備えて、バグなどの不具合が生じた場合の対応について定めておいた方がよいです。
たとえば、以下のような規定が考えられます。

  1. 検査完了後、納入物について仕様書との不一致(バグを含む。以下「瑕疵」という。)が発見されたときは、発注者は受注者に対し、当該瑕疵の修補を請求することができ、受注者は当該瑕疵を修補するものとする。

このような定めを、法律上は「瑕疵担保責任」といい、契約書で定めていなくても、法律に則って請求することもできます。ただ、当事者間で明確にしておくために、契約書にこのような規定を入れておいた方がよいでしょう。また、法律上は、1年以内であれば瑕疵の修補を請求できるものとされていますが、契約でこれより短い期間、たとえば3ヶ月などと定めれば、期間は3か月間に限定されます。契約書で、法律より不利になっていないかどうかも確認した方がよいでしょう。

 

4 制作物の著作権に関する取り決め

制作したサイトやアプリが著作物と認められる場合、基本的には、その著作権はこれを制作した受注者に帰属することになります。この場合、受注者の許可なく、改変したり、大幅な機能強化を行うなどすると著作権侵害となってしまう可能性があります。そこで、発注者側としては、ウェブサイト・アプリの著作権の譲渡を受けておきたいところです。
 その場合は、以下のような条項が考えられます。

  1. ①納入物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)は、発注者が受注者に対して代金を完済したときに、受注者から発注者に移転する。
  2. ②受注者は、前項により著作権が移転した納入物に関し、発注者に対し著作者人格権を行使しないものとする。

上記①うち、著作権法第27条及び第28条の権利は、「翻案権」、「二次的著作物利用権」などといい、ウェブサイト・アプリのコンテンツを改変する権利や、改変後のウェブサイト・アプリを利用する権利です。著作権譲渡の契約において、これらの権利の譲渡が明記されていない場合には、譲渡の対象には含まれていないものと推定されます(著作権法第61条第2項)。ですので、これらの権利も譲渡の対象になるということを明記しておく必要があります。

上記②の著作者人格権というのは、著作権法第18条~第20条に定められている権利で、著作物を公表するかどうかを決める権利(公表権)などをいいます。著作者人格権は、著作権とは別の権利で、他人に譲渡することはできないとされていますので、①により著作権を譲渡してもらったとしても、著作者人格権は、著作者である受注者側に残ってしまいます。そうすると、制作したホームページやアプリを自由に利用することの障害になってしまう可能性があるので、著作者人格権を行使しないという条項を入れておく必要があります。

 

5 まとめ

ウェブサイトやアプリの制作の外注は、非常によくトラブルになるところです。
 まずは、しっかりと契約書を作って、権利関係を明確にしておくことが重要です。その際には、上記のようなことも参考にしていただき、トラブルのないようにしていただければと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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