ECサイト運営に法律的に最低限必要なもの②【特定商取引法に基づく表記-書き方】

特商法の表記

 

 

 さて、先日の記事では、ECサイト運営を開始する為に法律的に必要なもの(①利用規約、②特定商取引法の表記)を紹介をしました。

今回は、②の特定商取引法の表記について、詳細を書きたいと思います。

1.特定商取引法に基づく表記とは?

 よくECサイト等をみるとこの言葉を目にすることがあると思います。この表記をすることは法律で義務付けられています。

これを守らないと、行政処分(業務停止命令)や刑罰を受けたり、経済産業省のホームページに違反者情報が公開されたりとペナルティーを課されます。

そして、何よりもお客さんとのトラブルのもとになりますので、以下の記事を参考に準備をしていただければと思います。

1.1 特定商取引法とは?

 特定商取引法(正式名称「特定商取引に関する法律」)は、消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象として、事業者(個人であってもECサイト運営者もここにいう「事業者」にあたります。)が厳守すべきルールやクーリングオフ等の消費者を保護するルールを定めた法律です。

同法の対象となる取引類型は、

①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引、⑤特定継続的役務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入

になります。

ECサイトビジネスは、この類型中、「②通信販売」に該当しますので、運営者は、特定商取引法が定めるルールのうち、通信販売に関するものを厳守しなければならない。。。ということになります。

1.2 表記の書き方

 特定商取引法では、「通信販売」を行う場合には、消費者トラブルを避けるため、一定の事項を購入者が分かるように表示しなければならないとされています。

(通信販売についての広告)
第11条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは指定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 商品若しくは指定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

 条文でみるとめちゃくちゃわかり辛いので、どのような事項を表示していかなければいけいないのか解説していきます。

 

1 販売価格又は役務の対価(特商法11条1号)

 これは、販売する商品の価格をいいます。DVDとセミナーを例にだすと、販売価格=DVDの価格、役務の対価=セミナーの受講料をさすことになります。

この記載は、実売価格で表示する必要があります。つまり、定価、希望小売価格等が表示されているだけではなく、実際の販売価格を記載しなければなりません。

 

2 代金又は対価の支払時期(特商法11条2号)

 支払時期とは、購入者が商品(DVD)や役務(セミナー)の代金をいつ払うかをいいます。

大きく前払い、後払い、同時払い(代引き)があると思います。ECの特性を生かしたビジネスをすることを考えると特別な事情がない限り「前払い」を選択しましょう。

表示例:「代金入金確認後、3日以内に商品を発送致します。」

 

3 代金又は対価の支払方法(特商法11条2号)

 支払方法とは、どのように購入者がお金を払うかということです。つまり、ECサイトの場合、クレジットカード決済、銀行振込み、代引きのの中から、サイト運営者が認める方法を表示することになります。

 

4 商品の引渡時期・役務の提供時期(特商法11条3号)

 購入者から注文を受けた後に、どの程度の期間で、商品を渡すかを表示する必要があります。

上記、「2」の表示例では、代金入金後、「3日以内」となっているので、この例の表示一つでこの要件も満たすことができます。

 

5 申込の撤回又は解除に関する事項(特商法11条4号)

 購入者がサイト上で申込みをした際に、その申込みを撤回できるか、契約を解除することができるか、いつまでできるか等の記載をいいます。つまりは、返品できるか否か、できる場合はいつまでかを表示することです。

注意が必要なのは、「通信販売」では、商品を受け取って8日間までは、返品できますよという規定が存在します(特商法15条の2第1項)。ただし、クーリング・オフ制度とは異なり、上記の返品についての事項を表示をしていれば、このルールは適用されません(同条同項ただし書)ので、ECサイトを運営する側から見れば、お客さんからしっかり見えるところに「返品不可」の表示をするか、又はお客さんの不安感を無くすため、「3日以内なら返品可能」等の表示をすることを強くお勧めします。

なお、この事項は、商品に欠陥があった場合等ではなく、商品に問題はないが、購入者の都合で返品したいという場合のルールを定めるものなので、そのあたりも注意が必要です。

 

6 商品の送料(特商法11条5号、主務省令)

 購入者が代金以外で、負担しなければならないものとして、送料があるならば、表示しなければなりません。

この表示は、「送料実費」等の表現ではなく、金額をもって表示する必要があります。ただし、この部分は、広告スペースとの関係、地域、重量等により細かく差がでてしまうこともあります。

そこで、購入者が負担すべき送料についてだいたい目途をたてることができる表示であれば良いとされています。

例えば、最高そう領と最低送料や平均送料等の表示で足りるとされています。

 

7 事業者情報(特商法11条5号、主務省令)

 ECサイト運営者は、その責任の所在を明確にするために、以下の運営者(事業者)情報を表示しなければなりません。

事業者の名称(法人の場合)又は氏名(個人事業者の場合)

※法人の場合は、代表者又は責任者氏名も表示

事業者の住所(個人事業主の場合は事業所の所在地)

※部屋番号まで省略することなく記載する必要がある。

事業者電話番号

※問い合わせ対応をする必要があるため記載が必要

 

8 条件付き表示事項

 以下の事項がある場合には、上記事項以外に下記の事項を表示する必要があります。

①申込の有効期限がある場合にはその有効期限

例えば、セミナー等の場合には、「セミナー開講日の1週間前まで」等

②瑕疵(欠陥)があった場合についてのルールを儲ける場合には、そのルール

③特別の販売条件(販売数量の制限等)がある場合には。その条件

1.3 表記の方法

 表記の方法としては、一般的に商品購入申込みボタンのすぐ近くに「特定商取引法の表示」という文字に上記事項が記載されたページのリンクを貼るという方法がとられることが多いです。

この方法による場合、その商品限定で問題となる事項(代金等)については、リンク先ページでは、「各商品ごとに記載」と表示し、それぞれの商品の購入ボタンがあるページに商品毎で問題となる事項を表示しておきましょう。

 

2 まとめ

 特定商取引法に基づく表記は、サイト等でサンプルやテンプレートが掲載されていたりします。私自身これを利用することは全く悪いことではないと思いますが、自分のECサイトの運営方法やビジネスモデルに併せて、その表示がなぜ必要なのか、どのような意味をもつのかを理解した上で、これをカスタマイズして使用することは必要不可欠です。

自分のサイトにあうようにカスタマイズして、表記を行うために、当記事を参考にしていただければ幸いです。

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弁護士法人ピクト法律事務所
代表弁護士永吉 啓一郎

担当者プロフィール

自らもECサイトや新規事業(税務調査士認定制度等)の立上げや運営を行ってきた弁護士。
多くのベンチャー企業や新規ビジネスの立上げ等について、法律的なアドバイスのみでなく「パートナー」としてかかわっている。
得意分野は、ECサイトやIT関連企業を初めとして企業法務と税法

ピクト法律事務所

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