仮想通貨やポイントサービスを導入する場合の注意点(資金決済法の前払式支払手段)

ゲームアプリ内で使用できるポイント(仮想通貨など)を発行したり、ECサイトで商品と交換できるポイントを発行したりすることがあります。このような商品やサービスと交換できるポイント・仮想通貨を導入する際の法的な規制について、ご説明したいと思います。

 

1 ポイントサービスに対する法的な規制

 ポイントサービスにも、様々な種類がありますが、まずは、どのような場合に法的な規制を受けるのかについて見ていきます。

1.1 ポイントサービスの種類

 ポイントサービスの中には、ゲームアプリなどで、ポイント(仮想通貨)を購入してもらい、その仮想通貨でゲーム内で使用できるアイテムと交換できるものや、ECサイトの中で、利用者が商品を購入した際におまけとして無償でポイントを付与し、そのポイントに応じて商品を値引き(1ポイント1円分など)したり景品がもらえたりするものなどがあります。

1.2 法的な規制を受けるサービスとはどのようなものか?

このようなポイントサービスの中でも、法的な規制の対象となるものとならないものがあります。
 その違いは、ズバリ、利用者から仮想通貨やポイントの発行と引き換えに「対価」を受け取るかどうかにあります。「対価」と引き換えに、仮想通貨やポイントを発行する場合には、資金決済法上の「前払式支払手段」として、いろいろな規制を受けることになります。「対価」とは、お金が代表的な例ですが、お金に限られるものではなく、その他の財産的な価値があるものも含まれます。
 ということは、ECサイトなどで、商品を買ってもらったらおまけとして、無償でポイントを発行するという場合、これは規制の対象とはなりません。一方、ゲームアプリなどで仮想通貨を有償で購入してもらい、その仮想通貨でゲーム内で使用できるアイテムと交換できるという場合には、「前払式支払手段」としての規制を受けることになります。

「前払式支払手段」として規制の対象となるかどうかの分かれ目は、

  1. 〇ポイントや仮想通貨を、対価を払って有償で購入してもらうのか
  2. 〇おまけなどとして無償で発行するのか

という点にあります。この点をよく覚えておいてください。

1.3 例外的に規制の対象とならない場合

 ただし、対価を得て、ポイントや仮想通貨を発行するとしても、例外的に「前払式支払手段」にあたらない場合があります。それは、ポイントや仮想通貨の使用期間が6か月以内に限定されているものです。
 実際、有効期限を6か月以内としているのをよく見かけると思いますが、それは、「前払式支払手段」としての規制を受けないように工夫されているということです。

 

2 前払式支払手段の種類

 前払式支払手段は以下のように2種類あり、種類に応じて、発行する場合の手続きに違いがあります。

2.1 自家型前払式支払手段

 自家型前払式支払手段とは、発行者から商品の購入やサービスの提供を受けるためにのみ使用できるとする場合です。例としては、ゲームアプリの仮想通貨で、そのゲーム内でのみ使用することが可能なものは、この自家型前払式支払手段にあたります。
 自家型前払式支払手段の発行は、基本的には自由に行うことができますが、

  1. 基準日(毎年3月末日と9月末日)における発行した仮想通貨やポイントの未使用残高が1000万円を超えた場合

このような場合には、財務局長に届出を行う必要があります。届出の期限は基準日の翌日から2か月以内です。
 未使用残高が1000万円を超えたときは、この届出をしっかりとしてください。

2.2 第三者型前払式支払手段

 第三者型前払式支払手段とは、発行者以外の第三者から商品の購入やサービスの提供にも利用できる場合です。例としては、パスモなど、発行者だけではなく、ほかの店舗でも利用できるポイントが挙げられます。
 第三者型前払式支払手段にあたる場合には、発行前に財務局長の登録を受けることが必要になります。登録の条件はなかなか厳しく、第三者型前払式支払手段に当たる場合には、ハードルが高くなります。

 

3 前払式支払手段にあたる場合に守るべき義務

自家型前払式支払手段と第三者型前払式支払手段で、規制の内容は違っていますが、両者に共通していて、かつ、インパクトの大きい規制としては、供託義務があります。
 基準日(毎年3月末日と9月末日)の未使用残高が1000万円を超えるときは、その未使用残高の2分の1の額以上を最寄りの法務局に供託しなければなりません。供託の期限は、基準日の翌日から2ヶ月以内です。
 なお、前の基準日に一定の金額を供託した場合、次の基準日に供託しなければならないのは、要供託額からすでに供託している金額を差し引いた金額となります。例えば、基準日における未使用残高が3000万円で、2分の1の1500万円を供託しなければならない場合、前の基準日に1000万円を供託していたとすれば、差額の500万円のみ供託すればよいということです。
 この供託義務は、キャッシュフローに与える影響が非常に大きいことから、これから発行を考えていらっしゃる事業者さんは、このような供託を行うことができるのかどうかをしっかりと検討する必要があります。

 

4 まとめ

 これから仮想通貨やポイントの発行を検討されている場合、対価と交換に発行するのか、無償で発行するのかにより、前払式支払手段としての規制を受けるかどうかが違ってきます。また、前払式支払手段に当たる場合には、種類に応じて、届出か登録を行うことが必要で、一定の金銭を供託することも必要になります。
 このような規制があるということを前提に、サービスの構築をしていただければと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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