自動車のドライバーと乗客をマッチングするサービスに関する道路運送法の法規制

 今回は、自動車を利用して運送を行うドライバーと、利用者(乗客)をマッチングさせるサービスに関する法規制について見ていきたいと思います。 主に、道路運送法の規制が問題となりますが、どの程度の対価をもらうか、誰が所有する自動車を利用するかにより、規制の態様が異なっています。
 複雑な規制になっており、非常にわかりにくいので、これからこのような事業を始められようとしている方はもちろん、すでに事業を行われている方も、事業が法規制に違反していないかどうかをチェックしてもらえればと思います。

1 自家用自動車の有償運送の禁止(道路運送法78条)

まず、以下のモデルを考えてみます。

  1. ・ドライバーが車の所有者
  2. ・ドライバーが利用者を運送する

このケースは、自家用自動車の有償運送を禁止する道路運送法78条が問題となります。

  1. ①自家用自動車を
  2. ②有償で
  3. ③運送の用に供すること

 上記の事例では、自己の車を使用して運送を行うドライバーは、①~③ともに満たすと考えられ、これを行う場合には、行政の許可または登録を受けなければなりません。許可を受けずに行ってしまうと、いわゆる「白タク」として違反になってしまいますので、ご注意ください。

2 ②「有償」にあたらない場合

  1. ・ドライバーが車の所有者
  2. ・ドライバーが利用者を運送する
  3. ※上記ケースと同じです。

 このケースの場合には、上記のように原則として規制されていますが、ドライバーが受け取る対価の金額によっては、②有償にはあたらず、自家用自動車の有償運送の禁止の規制の対象外とされる場合があります。

行政の通達(道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について)によれば、

当該運送行為が行われない場合には発生しないことが明らかな費用(同種の運送を行った場合には、運送目的、運送主体を問わず発生する費用に限る。)であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものを負担する場合

には、「有償」にはあたらないと解されています。

 通常、受け取っても有償とはならない費用は、以下とされています。

  1. ・ガソリン代、道路通行料及び駐車場料金のみがこれに該当
  2. ・人件費、車両償却費、保険料等は該当しない

 「notteco」というサービスは、相乗りを行う自動車の所有者と、これに乗せてもらう利用者とをマッチングさせるサービスですが、受け取る対価の範囲を上記に限定することで、道路運送法上の規制の対象外という解釈のもと、運用されています。

 まとめると、

  1. ・ドライバーが車の所有者
  2. ・ドライバーが利用者を運送する
  3. ※上記ケースと同じです。

という場合でも、

・対価を「有償」にあたらない範囲に限定する

ことで、道路運送法の規制の対象外となります。

3 ドライバーの所有する自動車を使用しない場合

 一方、ドライバーの所有する自動車を使用しない場合には、道路運送法の規制の対象外とされることもあります。

3.1 利用者(乗客)の所有する自動車を使用する場合

    ・利用者(乗客)が自動車の所有者
    ・ドライバーは、運転するという役務だけを提供する

 この場合には、ドライバーは、運転役務だけを提供しているもので、運送行為が成立せず、道路運送法の規制の対象外とされています。

 実際に、このようなマッチングサービスとして、過疎地において、自動車を所有する利用者とドライバーを対象としたサービス「あいあい自動車」というものがあります。

3.2 利用者(乗客)がレンタルした自動車を使用する場合

  1. ・運送に利用者(乗客)がレンタルした自動車(レンタカー)を使用
  2. ・ドライバーは、運転するという役務だけを提供する

 このようなサービスに関するグレーゾーン解消制度に基づく照会(制度の詳細は、過去記事「スタートアップなど新規事業の適法性を確認するグレーゾーン解消制度」をご参照ください。)に対して、行政は、自動車とドライバーが実質的に一体として提供されるのでなければ、直ちには、道路運送法の対象とはならないという判断をしています。

 ただし、たとえば、以下のような場合には、ドライバーと自動車が実質的に一体として提供されていると判断され、ドライバー及びレンタカー事業者の行為は道路運送法に抵触するとされていますので、ご注意ください。
経済産業省ードライバーマッチングサービスに係る 道路運送法の取扱いが明確になりました。

  1. ⅰ 事業者又はレンタカー事業者が自社ウェブサイト等に相手方の広告やウェブサイトへのリンクを掲載する等、事業者とレンタカー事業者に業務上の関係があると判断される場合
  2. ⅱ 第三者が業として事業者とレンタカー事業者の双方を紹介する場合
  3. ⅲ レンタカー事業者の親会社と事業者との間に資本・人的関係があるときに、当該関係を解消しても、実態として事業者への事実上の影響力が解消されていない場合

 このような解釈に基づき、利用者が借りたレンタカーを運転するドライバーと利用者(乗客)をマッチングする「Justavi(ジャスタビ)」というサービスが運営されています。

以下、まとめます。

  1. ・運送に利用者がレンタルした自動車(レンタカー)を使用
  2. ・ドライバーは、運転するという役務だけを提供
  3. の場合には、原則として道路運送法の規制の対象外
    ※ドライバーと自動車が実質的に一体として提供されていると判断される場合には、道路運送法に抵触する可能性があるので注意

4 まとめ

 以上のとおり、自動車のドライバーと乗客をマッチングするサービスに関する法規制は、誰が、どのような自動車を使用するか、どの程度の対価を支払うか、などにより、道路運送法の規制の対象となるのかどうかが異なります。
 これからこのようなサービスの運営を検討されている事業者やすでに行っている事業者は、その事業が法規制に則ったものになっているかどうかをしっかりと検討した上で、事業を進めるようにしてください。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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