他人の姿(肖像)が写真・映像に写り込んでしまったら、肖像権侵害!?弁護士が教えるEC運営者のためのIT著作権法対策⑥】

肖像権_映り込み

 さて、ここまで連日著作権についての記事を書いてきました(著作権に関する記事一覧)。今回でいったん著作権についての連続記事は終了したいと思います。これらに追加して、著作権を記事を書くと思いますので、そちらもご覧いただけたら幸いです。
 今回は、前回の「著作物」が写真・映像に写り込んでしまった場合の記事との関連で、それでは、他「人」が写っちゃったら!?という記事を書きたいと思います。ブログに旅行の画像をアップしたいけど、他人が写ってしまっているよ~とかそういった場合に関係がありますし、最近ではフェイスブックへの投稿についても問題になりますのでご確認ください。

 厳密にいうと「著作権」ではなく「肖像権」とかが問題になるのですが、関連が深いので、著作権シリーズに含めて書きたいと思います。

1 「肖像権」ってなに!?

 「肖像権」って聞いたことのある人は多いと思います。ただ、「肖像権」って「著作権」のようにどこかの法律で個別に規定されているものではないんです。裁判所の判例等で認められてきた権利なんですよね。判例は、憲法13条(自己決定権)を根拠に「肖像権」を権利として認めているのです。
 で、その内容としては、

 「人は、みだりに自己の容ぼうなどを撮影されないことや、自己の容ぼうなどを撮影された写真をみだりに公表されないことについて、法律上保護されるべき人格的利益を有する」
:和歌山毒カレー報道事件最-最高裁平成17年11月10日判決

少しわかりにくい表現かもしれませんが、つまりは、「許諾なく写真・映像をとられたり、それを公表されない権利」があるよといっているのです。著作権とこのあたりが似てますよね!

2 「肖像権」の侵害となる場合

 とはいっても、他人の姿が写真等に写ったら全部「肖像権」侵害で違法ということになると、実際写真なんかとれないし、写真や映像を使った表現活動ができなくなってしまいますよね。なので、上記判例もどんな場合でも違法になるとはしていません。以下、どんな場合に著作権侵害となり違法となるのか見ていきましょう。

2.1 どんな場合に肖像権の侵害となるのか!?

 「ある者の容ぼう、姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性などを総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべき」
:和歌山毒カレー報道事件最-最高裁平成17年11月10日判決

と判例は、いっています。何やら難しいことをいっているのですが、写り込み等に関して言うと常識的な範囲のものであれば、「社会生活上受忍すべき」として肖像権侵害とはいえないけど、常識的といえないレベルであれば、「社会生活上受忍すべき限度を超える」として肖像権侵害で違法といっているのです。

2.2 写り込みの具体的な事例の検討

 とはいっても、その常識的にとかいうのが難しいので、写り込んでしまった場合の適法・違法を場合分けして考えてみましょう。写真・動画に写り込んだ人が「特定」できるか否かで分けてみたいと思います。
 ここでいう「特定できる」というのは、その人を知っている人が見たら、その人だとわかるという程度のものをいっています。
 

2.2.1 写り込んだ人物が誰か特定できない場合

 まず、解像度を下げたりmモザイク処理をして誰か特定できないようにしたり、後姿しか写り込んでいない等で、その人物を特定できない場合があります。
 このような場合には、そもそも「肖像権」の問題があるとは言いずらいですし、あったとしても、常識的に考えて「社会生活上受忍すべき」と評価できるので、「肖像権」侵害にはならないでしょう。
 

2.2.2 写り込んだ人物が誰か特定できる場合

 次に、写真・動画に写り込んだ人物が誰だか特定できる場合ですが、この場合には、「肖像権」の問題となります。
 ただし、侵害があり違法となるのは、上記のように常識的に考えて「社会生活上受忍すべき限度を超える」と評価される場合です。

〇観光地での写真・動画の撮影に写り込んだ場合
 ●撮影自体→観光地での写真や動画撮影は一般に行われることであり、観光地へ行けば他人の写真に写り込んでしまうことは常識的にありえるので、「受忍限度内」で適法
 ●ブログ・SNS等へアップする行為→単純に「観光地」へ行ってきました!!というアップの仕方であれば映り込みはあり得るので「受忍限度内」の可能性が高い(なお、映り込み方があくまでも「従」といえる場合に限る。)。アップの方法として、その人物に言及したり、出会い系の広告等に利用する等については「受忍限度を超え」肖像権侵害となる可能性が高い。

2.3 補足等(「著作権法」がとても参考になる)

 この「受忍限度」ないか否かというのは、個別の状況判断による部分もあるので、難しいのですが(条文もないし)、大きなヒントになるのが、前回書いた著作権と映り込みの問題の記事「2」です。肖像権についても、「2」の要件を充たすような場合には、適法と評価される場合が多いでしょう。 

3 まとめ(写り込みがあった場合の解決策)

 
 それでは、最後に、写り込んだ写真や映像がある場合に、どのように処理すべきかをまとめたいと思います。
 上記のようにブログ等へのアップ行為は、個別事情で変わってきますので、他人が写り込んでしまった場合に違法と判断されるおそれは常にあります。ですので予防策として

① 単に写り込んでしまった場合は、背景等にぼかしを入れて、特定できないようにする。
  ↓ それが難しい場合
② アップの仕方として、その人たちが目立つような記事内容にしない(なお、映り込み方があくまでも「従」といえる場合に限る。詳細はこちらの記事。)。

 この記事は本来の撮影対象として別のものがあり、たまたま写り込んでしまった場合の問題を取り上げているのであって、誰か撮影対象としてとったりした場合には、ちゃんと許諾をとってブログやSNSにアップしなくちゃいけないということは勘違いされないようにお願いします~。
 

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弁護士法人ピクト法律事務所
代表弁護士永吉 啓一郎

担当者プロフィール

自らもECサイトや新規事業(税務調査士認定制度等)の立上げや運営を行ってきた弁護士。
多くのベンチャー企業や新規ビジネスの立上げ等について、法律的なアドバイスのみでなく「パートナー」としてかかわっている。
得意分野は、ECサイトやIT関連企業を初めとして企業法務と税法

ピクト法律事務所

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