ウェブサービスを適切に終了させるための利用規約の作り方

ウェブサービスを始めるにあたり、「サービスの終わらせ方」を考えることはあまりないかもしれませんが、始まりがあれば終わりもあるということを、あらかじめ想定しておく必要があります。有料で提供していたサービスを、何の予告もなく終了すると、利用者からクレームが来てしまうこともありますので、注意が必要です。

今回は、ウェブサービスを適切に終了させるための利用規約の作り方や、実際の終了のさせ方をご紹介します。

1 ウェブサービスの利用者と提供者の法的な関係

まず、サービスの終了を考えるにあたって、利用者と提供者の法的な関係について説明しておきます。
 有料でウェブサービスを提供をしている提供者とそれを利用している利用者の間には、提供者が継続的にサービスを提供する、それに対して利用者がお金を払う、という契約(以下「サービス利用契約」といいます。)が成立しています。その契約内容を定めているのが、提供者と利用者との間の利用規約です。

提供者が、何の予告もなく勝手にサービスを一方的に終了させた場合、サービス利用契約に反し、サービスを提供する義務があるのにそれを怠ったとして、債務不履行に基づく責任(損害賠償など)を負ってしまうおそれがあります。
 そこで、サービスの提供を終了する場合には、サービス利用契約を適切に終了させておく必要があるわけです。

2 サービスを終了させるための利用規約の内容

どのような場合に、サービス利用契約を終了させることができるのかは、まずは、サービス提供者とサービス利用者との契約内容によります。
上記のように、その契約内容は利用規約により定まりますので、利用規約にサービス提供者の判断によりサービスを終了させる(サービス利用契約を解約する)ことができる旨を定めておくことが重要です。利用規約で定めている場合には、その規定自体が無効にならない限り、定められた規定に基づいて、サービスを終了すればよいということになります。

利用規約にどのような規定を置くかですが、よく見かけるものとしては、いつでもサービスを終了することができるというものがあります。この規定に基づけば、すぐにサービスを終了しても適法で、提供者は債務不履行責任を負わないことになります。

ただ、サービスによっては、このような規定は有効にならない(消費者を相手にするサービスであれば、消費者に不利なものとして消費者契約法に違反するとして無効となるなど)可能性があります。

ですので、利用者に対して一定の配慮をした規定にしておくのが望ましいです。

具体的には、

①サービス終了にあたり一定の期間を設けて利用者にアナウンスする
②一定の期間が経過したことをもってサービス終了とするという規定にしておき、実際に終了させる際にも、これに従って運用する

ということが無難かなと思います。

②の一定の期間がどのぐらいかというと、サービスの内容等によるところが大きいですが、1~3か月程度としている例が多いように思います。

また、規定の法的な有効性という観点は別にして、実際問題としても、有料で利用している利用者が、突然サービスが使えなくなりましたということだと、クレームが多発する可能性もありますので、①・②のような対応が穏当でしょう。このように利用規約に定め、運用をすれば、サービス終了についてクレームが来たとしても、利用規約の手続に則って、適切に行っていますよという理由の説明ができ、クレーム対応にも役立ちます。

3 利用規約にサービスの終了についての規定がない場合の扱い

これから利用規約を作る場合は、上記のようにサービスの終了に関する規定を入れておけばよいわけですが、利用規約にそのような定めがなく、利用期間についても決められていない場合に、サービス提供者の判断でサービス利用契約を終了させることができないか、というとそうではありません。

上記のとおり、サービス提供者と利用者との関係は、サービスを継続的に提供するという継続的な契約です。民法の一般的な考え方からすれば、このような契約を終了させるためには、サービスの終了について利用者に事前にアナウンス(解約の申入れ)して、一定の期間が経過すればサービスの終了(サービス利用契約の解約)が認められると考えられます。

どの程度の期間が経過すればよいかは、サービスの内容など事案ごとに判断され、明確な基準はないですが、一般的には2~3か月間ぐらいは見ておいた方がよいかと思われます。

4 まとめ

以上のように、ウェブサービスの終了に関する問題を見てきました。サービスを適切に終了させるためには、あらかじめ利用規約においてサービスの終了に関する規定を入れておくことが重要です。このような規定がない場合でも、サービスの終了が全く認められないということではないですが、クレームを少なくするという意味でも、利用規約におけるルールの設定が不可欠です。どのような規定にするかは、「2 サービスを終了させるための利用規約の内容」を参考にして決めていただければと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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