ECサイトやウェブサービスで広告メールを送るには同意が必要?!(特定電子メール法・特商法)

ECサイトやウェブサービスにおいて、そのマーケティングの手法として、商品・サービスに関する広告や宣伝のメールを送るという方法が広く利用されています。このような広告・宣伝メールの送信は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下「特定電子メール法」といいます。)と特定商取引法(以下「特商法」といいます。)の2つの法律により規制されているということをご存知でしょうか。

今回は、ECサイトやWebサービスの運営者が、メールでの広告を適切に行っていただくためにご注意いただきたい点をご説明します。

 

1 規制の対象となるメールとはどのようなもの?

上記のように、2つの法律により、商品やサービスの広告や宣伝のメールが規制されているのですが、具体的にはどのようなメールが規制の対象となっているのでしょうか。

まずは、条文から見ていきます。

(特定電子メール法)
電子メールの送信をする者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)が自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メール(特定電子メール法第2条2号)

(特商法)
商品若しくは指定権利の販売条件又は役務の提供条件に係る電子メール広告(特商法第12条の3第1項柱書)

ややこしい書き方がしてありますが、簡単にいえば、商品・サービスの広告や宣伝を目的として送信するメールです。たとえば、そのメール自体に個別の商品・サービスの宣伝に関することが記載されているものが典型的ですが、商品やサービスの販売を行っているウェブサイトへの誘導を送信目的としているメールも、対象に含まれてきます。

一方、ECサイトで注文を受けた後に行う注文確認や商品発送のメールは、商品の広告・宣伝を目的とするものではないので対象には含まれません。

どこまでが対象になるかは、不明確な部分もございますが、商品やサービスとは無関係の純粋な情報提供のみが行われる場合以外は、規制の対象になっていると考えていただいた方がよいと思います。当初は、商品の宣伝等するつもりはなかったけど、後からこのような使い方をしようと方針変更する場合もありますので、注文確認や商品発送以外の目的でメールを送ることを想定されているのであれば、念のため、規制対象になると想定して規制を守っておいた方がよいと思われます。

なお、規制の対象は、あくまでメールなので、郵送で送るダイレクトメールや商品案内は対象になりません。

 

2 メール送信に関する事前同意の取得方法

上記のような広告メールを送る場合には、原則として、あらかじめ受信者の同意をとっておかなければなりません(特定電子メール法第3条1項1号、特商法第12条の3第1項柱書)。同意なく広告メールを送ると違反になってしまいます。

以下では、同意を取得する方法や同意の範囲について書いていきます。

2.1 同意を取得する方法

同意を取得したといえるために重要なのは、以下の2点です。

  1. ①受信者が広告・宣伝メールの送信が行われることが認識されるような形で説明が行われれていること
  2. ②受信者が賛成の意思を表示したといえること

たとえば、会員登録などの際に、メールアドレスを入力してもらったのみでは、①・②ともに満たしたとはいえないので、同意を取得したとはいえません。また、よく見られる例としては、利用規約の項目の1つとして、広告メールを送ることができる等と記載し、利用規約に同意してもらうこととしているものもありますが、これも①・②ともに問題があるので、基本的には認められていません。

最も望ましいのは、商品の購入ページや、会員登録ページの申込みボタンの付近に、当社から商品等に関する広告メールの受信を希望します、などとしてチェックボックスを設け、利用者にチェックを入れてもらう方法です。この方法であれば、①、②ともに満たしており、同意を取得したといえます。

チェックボックスにあらかじめチェックを入れた状態にしておき、配信を希望しない場合にはチェックを外してもらうという、いわゆるデフォルトオンの方法を用いることも禁止はされていませんが、その場合には、デフォルトオンになっていることを利用者にわかりやすい形で表示しておき(デフォルトオンの部分を、画面の中で目立つ色にしておくなど)、申込みボタンの近くに設置しておくことが重要です。

また、行政が公表している以下のガイドラインにも、具体例を挙げて説明がされているので、ご参照ください。

※特定電子メールの送信等に関するガイドライン
※電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る 「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン

2.2 同意取得の範囲について

同意を取得しておかなければならない範囲は、「広告メールを送信すること」であり、送信するメールの種類や内容などを特定して(たとえば、○○商品に関する広告など)、同意を取得することまでは法律上要求されていません。

また、誰から送られてくるのかというのをしっかりと認識してもらった上でないと、同意を取得したことにならないので、送信者の名称等を認識できるようになっていることが必要です。プラットフォーマーや広告媒体事業者を通じて同意を取得する場合には、少なくとも、どのような事業者から広告メールが送られてくるのかを、受信者が認識できる形で表示しておくことは必須です。

 

3 まとめ

ECサイトやウェブサービスでは、広告・宣伝メールは、有効なマーケティング手法ではあります。ただ、事業者の中には、お客さんの同意を得ずに行っているのではないかと思われる例も散見されますので、このようなメールを送る際は、しっかりと同意をとった上で、行うようにしていただければと思います。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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