広告が不当表示に該当したら課徴金の対象に! ~景品表示法の不当表示における課徴金制度~

今回は、改正景品表示法における不当表示に関する課徴金制度について、解説したいと思います。この制度については、景品表示法の改正案が閣議決定されたときに、本サイトでもご紹介しましたが(景品表示法改正案が閣議決定!【課徴金の導入】)、平成28年4月1日から制度の運用がはじまり、実際に課徴金が課される例も出てきています。

課徴金の金額は売上額の3%とされており、売上額によっては事業の存続自体が危うくなってしまう可能性もありますので、EC事業者は、商品やサービスの広告を行う際には、その表現が不当表示にならないよう、さらに慎重に対応しないといけない状況になってきています。

 

1 課徴金の対象行為

課徴金の対象となる行為は、次の2つです。

  1. ①優良誤認表示
    (実際よりも商品サービスの品質・内容等を著しく良く表示する。景品表示法5条1号)
  2. ②有利誤認表示
    (実際よりも価格等の取引条件を著しく有利に表示する。景品表示法5条2号)

以下では、①②をまとめて「不当表示」と呼びます。
 それぞれの詳しい内容については、こちらの記事をご参照ください。

①優良誤認表示に関して、行政は、表示を行った事業者に、表示の裏付けとなる合理的根拠となる資料の提出を求めることができ、事業者がこれを提出できなかった場合には、優良誤認表示があったものとして課徴金の対象となります(いわゆる不実証広告規制、景品表示法8条3項)。事業者は、商品の品質・性能などに関して広告をする場合には、裏付けとなる資料を準備しておき、求められればすぐに提出できるようにあらかじめ準備しておかなければならないということです。

なお、①②以外に、景品表示法上禁止されているものとしては、その他の誤認されるおそれのある表示(商品の原産国に関する不当表示など。景品表示法5条3号)がありますが、これは課徴金の対象外とされています。

 

2 課徴金の金額と対象期間

 次に、課徴金として徴収される費用と、対象期間についてご説明します。

2.1 課徴金の金額

不当表示の対象となった商品・サービスの課徴金の対象期間における売上額の3%です(景品表示法8条1項本文)。

2.2 課徴金の対象期間

景品表示法8条2項によれば、課徴金の対象期間は、以下のとおりとなります。

  1. 原則:不当表示を行った期間(不当表示を始めた日からやめた日までの期間)
  2. 例外:不当表示をやめた後に対象商品・サービスの取引を継続していた場合には、以下のうち、いずれか早い日までの期間も加える
  3. ①不当表示をやめた日から6か月間
  4. ②不当表示による一般消費者の誤認を解消する措置をとった日までの期間
  5. 上限:3年間

たとえば、ある商品について不当表示をして5年間販売、その後不当表示をやめた後も1年間継続して販売、その間一般消費者の誤認を解消する措置をとらなかったという事例では、不当表示をやめた日から6か月後の日(例外①)からさかのぼって3年間(上限)が、課徴金対象期間になります。
 そして、その間に販売した商品の売上額の3%が課徴金として課されます。

 

3 不当表示があったとしても課徴金が課されない場合

不当表示があったとしても、課徴金が課されない場合もあります。

  1. [Ⅰ] 不当表示に関して善意・無過失であること(主観的要件)
  2. [Ⅱ] 課徴金の金額が150万円未満であること
  3. [Ⅲ] 不当表示をやめた日から5年間が経過したこと

以下、詳しく見ていきます。

3.1 [Ⅰ] 不当表示に関して善意・無過失であること(主観的要件)

「不当表示であることを知らず、かつ、知らないことについて相当の注意を怠らなかった」(いわゆる善意・無過失)場合には、課徴金は課されません(景品表示法8条1項ただし書)。
消費者庁が出しているガイドラインでは、無過失といえる例として、商品メーカーが、実績があり信頼できる検査期間の性能試験検査の結果に基づいて表示を行っていたが、その結果が誤っており、不当表示となってしまっていた場合などが挙げられています。

3.2 [Ⅱ] 課徴金の金額が150万円未満であること

課徴金対象期間において算定した課徴金の金額が150万円未満の場合、課徴金制度の対象とはなりません(景品表示法8条1項ただし書)。つまり、売上額が5000万円未満であれば、課徴金は課されないということです。売上額がそれほどいかないという小規模の事業者は、課徴金について心配する必要はないということになります。

なお、この課徴金額が150万円未満というのは、対象期間における課徴金の計算の結果として150万円未満ということであり、以下の「4 課徴金の減免制度」でご説明する制度が適用された結果として、150万円未満になったとしても、この要件は満たしません。

3.3 [Ⅲ] 不当表示をやめた日から5年間が経過したこと

不当表示をやめた日から5年間が経過したときは、課徴金納付命令を出すことはできなくなります(景品表示法12条7項)。これを、除斥期間といいます。

 

4 課徴金の減免制度

上記のような課徴金が課される要件がそろっていたとしても、課徴金が減額または免除される制度が2つ設けられています。

4.1 自主申告制度(景品表示法9条)

不当表示があったことを事前に消費者庁長官に自主申告した場合には、課徴金の金額が2分の1に減額されます(景品表示法9条本文)。
 事前に、というのは、調査により課徴金が課されることを予知する前に行わなければならないという意味なので、自主的に申告したとしても、行政の調査が入ってからではこの制度の対象にはなりません(景品表示法9条ただし書)。

4.2 自主返金制度(景品表示法10条、11条)

不当表示を行った事業者が、消費者への返金計画を定め、消費者庁に提出して認定を受け、それに基づいて返金を行った場合には、その返金額が課徴金額から減額されます。
 返金計画の内容や、その手続き等についての詳細は、景品表示法のほか、景品表示法施行規則・施行令に定められています。

 

5 まとめ

以上見てきたように、EC事業者が商品広告を行う際に不当表示がなされた場合の課徴金の金額は、その売上額によっては莫大な金額になってしまう可能性があり、場合によっては、事業の継続自体が危うくなってしまいます。

広告を行う場合の表現が不当表示とならないよう、くれぐれもご注意ください。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士南史人

担当者プロフィール

ビジネスへの理解と特有の法的なリスクがあるIT・EC業界に精通している弁護士として、多くのIT・EC事業の経営者の相談に乗ってきた実績を持つ。常に経営者目線でのアドバイスを心掛け、スピード感を持った専門性の高いサービスを提供している。


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